日中はすっきりとした空が美しい秋晴れが続く今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。朝晩はだいぶ冷え込むようになり、季節の移り変わりを感じます。
年末が近づくと多くご要望いただくのが、新年を迎えるにふさわしい花飾りとしてご用意しているお正月アレンジメント。ご自宅の玄関やリビングに置いて飾るだけで、縁起のよいお正月を迎える準備が整えられるとたくさんの方にご好評いただき、青山花茂が自信をもっておすすめする品物です。
今回の記事では、縁起がよいとされる花の由来やそれらを使ってお作りしたお正月アレンジメントなどをご紹介します。
目
お正月に飾りたい、縁起がよいとされる伝統的な花材とは
縁起のよい花といえば、松・竹・梅が挙げられるでしょう。松・竹・梅は「歳寒三友(厳寒三友)」と称され、寒い冬でも葉が枯れないため、その強さからお正月の「縁起物」として尊ばれてきました。
その他にも、菊や南天、千両、水仙など、古来より親しまれている正月の伝統的な花材があります。それぞれを解説していきます。
松
松は、常に青々とした葉を保つことから中国や日本では古来から縁起の良い植物とされ、盆栽やいけばなで重宝されてきました。「神を待つ(まつ)」「神を祀る(まつる)」という謂れからも、神仏の宿る木として崇められたり、神仏への奉納にも用いられる樹木です。 国内で流通する松は、品種としては黒松、赤松、五葉松、大王松の四種。それらが商品名として若松や小松など分類されています。詳しくは以下の記事でもご紹介しています。
参照:「若松、小松、根引松…正月に欠かせない松を種類別に解説します」
竹
竹は、その成長の速さや常緑の植物であることなどから縁起のよいものとされ、「斎竹(イミダケ)」として結界の四隅に設えるなど、不浄を防ぐものと尊ばれてきました。この風習は地鎮祭などで現在でも活用されています。食用から工芸の素材まで、広く愛されてきた植物で、門松の軸に竹を使用するのは皆さんご存知の通りです。
梅
梅は、春に最も早く開花する花木のひとつ。寒い季節に花をつけることから、強く縁起の良い花とされました。天神様の花木としても有名です。ちなみに、花を観賞するための「花梅(はなうめ)」と、大きな実をつける食用の「実梅(みうめ)」という品種群に大きく分けることができますが、特に花梅は12月頃から咲く冬至梅(とうじばい)など早咲き品種が多いのが特徴です。実梅の開花期は多くが2月〜3月なので、梅の花は比較的長い期間見かける花です。
菊
菊も縁起のよい花です。豊かな芳香と気品の高い姿から、邪気を払い、長寿延命の効能があると信じられてきた菊。古来中国では、菊と同様に芳香と美しさのある蘭・梅・竹と合わせ、「四君子」と評され、観賞用もしくは食用に重宝されたといいます。花色も多様で大輪も小輪もあり、花もちもよい菊の花。最近は、個性的な花の形の新種や、鮮やかな花色の品種が生み出され、新たな魅力が再評価されています。
参照:「菊の花(マム)は日持ち最強の切り花。バラエティ豊かな品種と、菊にまつわる話を紹介します【表で解説】」
千両
千両は、その名前から縁起の良いものとして扱われている植物で、日本の伝統的なお正月飾りに欠かせない存在となりました。元は同じく赤い実の万両に対してやや実が少ないので千両という名がついたといわれます。赤い実だけでなく黄色い実をつける黄千両も流通しています。ちなみに万両は主に庭木として植えられていますが、切り枝での流通はほぼありません。
南天
南天は、冬に赤い小さな実をつける低木です。「難を転ずる…」という謂れから、縁起がよいとされ、家の鬼門の方角によく植えられています。中国では果実のほか、樹皮や根の皮も薬用とされるようです。日本では冬のいけばなの花材としても、よく用いられます。千両と南天は、赤い実の外見から間違えられやすい花材なのですが、簡単に見分けられる方法を以下の記事でご紹介しています。
参照:「秋から冬の季節、知っておくと楽しくなる赤い実のいろいろ。野ばら、山帰来、千両、南天など」
水仙
水仙は、寒い冬でも花を咲かせることから、縁起がよい花とされています。地中海沿岸が原産で、ギリシャ神話に登場する美少年ナルシスにちなんでナルキッサスという学名がついています。日本へも弥生時代後期頃中国を経て伝わりましたが、人の手で伝わったという説と、能登半島・伊豆半島・房総半島など海の近くに群生していることから海流で運ばれたという説があります。ロマンがありますよね。水仙について詳しくは、以下の記事でご紹介しています。
参照:「冬に咲く花・水仙(スイセン)の魅力。花言葉が「うぬぼれ」の理由、毒を持つって本当?」
葉牡丹
葉牡丹は菜の花の仲間の植物ですが、花の少ない冬の季節に、まるで花弁の多い牡丹を思わせるような、赤みや白みを帯びた葉の重なりが珍重されて、お正月の花飾りに用いられてきました。バラの花のような姿の、味わいのある個性的な葉の姿が和の風情を醸しだします。
<番外>水引
花ではないですが、水引も縁起物素材として正月に活用されます。水引とは和紙と糊で作られた紐のようなもので、リボンのようなラッピングとは異なり、日本では魔除けや人と人を結びつけるという意味合いがあります。ご祝儀袋や熨斗にあるように、形や色によりさまざまに使い分けます。青山花茂のお正月アレンジメントでは金銀、または紅白の水引を使い、いっそうおめでたく仕上げています。
新年におすすめのお正月アレンジメント【2024年】
お正月という日本の新年の風情に華やかな彩りを添える花々。新しい年を明るく、美しく演出する、縁起のよい寿ぎの花飾りが新しい年の幸運を招きます。
青山花茂のお正月アレンジメントは、先にご紹介の伝統的な花材を使用し、いけばなのエッセンスも加えた格調高いデザインのものばかり。フラワーデザイナーがひとつひとつ丁寧にお作りします。
新作を含む、豊富なラインナップをご用意しました。この記事でも一部ご紹介します。
お正月アレンジメント<朱雀(すざく)>
希少価値の高い三光松の枝ぶりを活かして配し、左右には金塗りの竹と赤い木瓜(ボケ)、中央には金と白の水引を。赤と黄色の千両をベースに、淡いグリーンと黄色の大輪マムが華やかに咲いて、新春の晴れやかなおめでたさに満ちた仕上がりです。
お正月アレンジメント<慶賀(けいが)>
のびやかな若松、たわわに実った赤い南天、葉牡丹、白梅など、縁起のよいお正月の伝統花材と白いミディ胡蝶蘭をゴールドの色調の花器に。金塗りの柳や金銀の水引も添えて、新春を祝う趣きにふさわしく仕上げました。白梅が次々と咲いて、ふくいくとした花の香りもお楽しみいただけます。
お正月アレンジメント<陽春(ようしゅん)>
太い青竹の花器に、ピンクの大輪のマム、ピンクと白のピンポンマム、濃いピンクのラナンキュラス、紫の葉牡丹などの花々をたっぷりと、和を感じさせる明るい配色で彩りました。お正月の伝統花材である根引松や赤い千両、縁起物の紅白の水引飾りもあしらって、新春らしさを加えています。
お正月アレンジメント<七福(しちふく)>
お正月ならではの根引松、赤と黄の千両や白の葉牡丹に、ピンクの大輪のマムやピンポンマムも。さらに芳しい香りの黄色いフリージアと、紅白の水引もあしらって、お正月の華やかさがあふれます。縁起の良い七福神にあやかって、7種の枝や花で新春の風情を表現したお正月アレンジメントです。
こちらでご紹介した品物以外にも、豊富なデザインのお正月アレンジメントをご用意しています。詳しくはオンラインショップをご覧ください。
玄関ドアや室内に、おすすめのお正月飾り【2024年】
例年ご好評いただいている、玄関ドアや壁面にスワッグのようにかけられるお正月飾り。今年の新作も加わり、伝統的な設えの違いをお楽しみいただけます。また、お手持ちの花器にそのまま活けてお正月を演出できるよう、束ねた状態でお届けするおまかせ花束もございます。
以下にいくつかご紹介していきます。
お正月飾り<いぶき>
お正月飾り<ほだか>
お正月おまかせ花束(若松・千両入り)
伝統的な花材を用いながらもシンプルで都会的なデザインに仕立てた、青山花茂ならではの格調高いお正月飾りをご紹介しました。
そのほか、ご自宅用のお正月伝統花材をご希望の方は、お電話またはお問い合わせページからお尋ねください。ご予算に沿ってご提案します。
お正月アレンジメントやお正月飾りのお届けはいつ?
2025年の新年をお迎えするお正月アレンジメントやお正月飾りは、年内は12月28日(土)から12月30日(月)の間にお届けいたします。年明けのお届けをご希望の方は、1月6日(月)もしくは1月7日(火)にお届けを承ります。ご指定日にお届けできる数量に限りがあるため、ご注文の際にお選びいただけないことがございます。どうぞお早めにご予約ください。
新しい年を迎えるにふさわしい花飾りをどうぞ
縁起がよいとされる花々とお正月アレンジメントやお正月飾りをご紹介しました。
ご自宅用はもちろんのこと、年の瀬の贈り物として、お世話になった方やお取引先さまなどに贈られてはいかがでしょう。レストランやショップ、オフィス、クリニックの待合室など、人々の集う空間にもおすすめです。
家族、親戚やゲストの方々…。人々が集う時だからこそ、華やかな花とともにお過ごしください。
また、青山花茂ではいけばなをされる方向けに、毎年お正月いけばな花材もご用意しています。
迎春いけばな花材は、11月下旬ごろからご案内予定です。こちらも合わせてぜひご覧ください。
お電話、オンラインショップから、皆さまのご注文をお待ちしています。
電話:03-3400-0871
FAX:03-3400-8711
FAX用紙ダウンロード(PDFファイル)
この記事の監修者
株式会社青山花茂本店 代表取締役社長
北野雅史
1983年生まれ。港区立青南小学校、慶應義塾中等部、慶應義塾高等学校、慶應義塾大学経済学部経済学科卒業。幼少期より「花屋の息子」として花への愛情と知識を育む。2006年〜2014年まで戦略コンサルティングファーム A.T. カーニーに在籍。2014年、青山花茂本店に入社し、2019年より現職 (青山花茂本店 五代目)。
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この記事を書いた人
青山花茂本店
東京・表参道にある宮内庁御用達の生花店です。花一輪一輪を大切にお作りしたアレンジメントや花束、名人達が丹精こめて育てた蘭鉢や花鉢など、最高品質のフラワーギフトを全国へお届けしています。1904年の創業時より培ってきた、花の知識やノウハウを綴っていきます。
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