ウィンターシーズンになると目にする機会が増える鉢花、ポインセチア。赤く色づいたポインセチアは、クリスマスのイメージが定着し「クリスマスフラワー」と呼ばれることもあります。近年は色も赤だけでなく、形も多様になり、プリンセチアという品種も開発されるなど、冬の贈り物としてその存在感を増しつつあります。
今回は、そんなポインセチアのお手入れ方法やプリンセチアとの違いなどをご紹介します。
目次
ポインセチアの歴史
ポインセチアはメキシコ原産で、現地では2〜3メートルにもなる常緑低木。日本では鉢植えで栽培され、高さ50〜60センチ程度のものがポピュラーです。葉は深い緑色で、冬になると花の周りの「苞(ほう)」という部分が赤く色づくため、クリスマスシーズンを彩る鉢花として親しまれ、生花店には多くのポインセチアが並び、商業施設のディスプレイとして見かけることも多くなります。
近年は改良が加えられ、赤だけでなく白色、クリーム色、ピンク色、斑(ふ)入りなど、さまざまな品種が作られており、バラエティに富んだものになっています。
青山花茂でご用意している「ポインセチア」の商品一覧|青山花茂
ポインセチア の名前の由来
1825年にメキシコからこの植物を最初にアメリカに導入した、ポインセットという人物の名前にちなんで、その名が付けられたと言われます。日本へは明治時代に伝来し、ショウジョウボク(猩猩木)という和名が付けられました。枝先の葉が赤く色づく様子を、伝説上の動物・猩猩に例えて付けられたそうです。
レーガン大統領の演説で需要が高まったという説も
青山花茂のベテラン社員に聞けば、ポインセチアの需要が本格的に高まってきたのは90年代前半、バブルが終わった後で、それまでは冬の花鉢といえばシクラメン一強だったそう。布施明さんの歌う「シクラメンのかほり」が1975年に発売され、その後シクラメンは冬の高級贈答品として大ブームとなりました。
実は、ポインセチアがクリスマスの花として国内の一般の皆さんに定着した時期が90年代前半であるのは、「レーガン大統領の演説がキッカケだ」というのが、ポインセチア生産に関わる人々の中では定説です。
欧米でも、1980年代のはじめ頃までは、クリスマスといえばクリスマスローズ、クリスマスホーリーなどだったそうなのですが、あるクリスマスの時期の演説で、レーガン大統領の舞台のバックを、支持者が作る赤いポインセチアで埋め尽くしたことがあったそうです。これが全国放送されたことをきっかけに、ポインセチアの需要が急激に高まったとされています。(この話が事実である根拠も実はないのですが、複数の人が証言しているので本当だと信じています・・・)
欧米で「クリスマスフラワー」として定着したポインセチア。毎年クリスマスの時期に赤く染まり、お手入れも比較的簡単なことから、90年代前半に日本全国で知られるようになったのでしょう。歳末の時期の花鉢といえばシクラメンとポインセチアですが、今や、シクラメンよりもポインセチアの取り扱いの方が多くなった実感があります。
ポインセチアの色づいた部分は花?なぜ色づくのか
色づいているのは葉が変形した「苞」の部分
ポインセチアを飾ったり贈ったりする際の基礎知識として知っておきたいのは、赤く色づいた花びらに見える部分は花ではない、ということです。構造としては「葉」が変形した「苞(ほう)」と呼ばれる部分で(苞葉・花苞などとも呼ばれます)、本当の花は苞の中心にある黄色の部分です。
「花に見える部分が実は「苞」で、本当の花はこちら・・・」というのは、ポインセチアだけでなく、ヤマボウシ、カラー、ブーゲンビリア、ドクダミなど、さまざまな植物に見られる構造です。
ポインセチアはどうすると赤く色付くのか
ポインセチアは花芽が出ることで苞(苞葉)が色づく性質があり、色付かないポインセチアはただの緑色の葉っぱです。冬を過ごしたポインセチア、夏になるとただの緑色の葉っぱになることをご存知でしたか?
ではどうやって花芽を出させるのか。それには、花芽を出したい時の1〜2ヶ月前から、日照時間を短くする必要があります。このように、1日の日照時間が一定以上短くならないと反応が起きない植物を「短日植物」と言い、ポインセチアだけでなく、アサガオや菊などもそのうちの一つです。
クリスマスの1ヶ月ぐらい前にポインセチア出荷のピークを合わせたい生産者さんは、赤く色付ける2ヶ月ほど前の8月や9月頃から遮光カーテンで光を遮り、夜が12時間以上の状態を作ります。
遮光カーテンがなくても、10月11月になれば夜は12時間以上になるのですが、その時点から「短日」の状況を作っていては、クリスマスの需要期に間に合わないというわけです。
外に置いておいても冬がくれば色づくの?
日が短い状況で1〜2ヶ月間を過ごさせないと花芽が出てこないわけですが、ポインセチアは夜間が10℃より寒くなってしまうと弱ってしまうので、短日になった頃(11月・12月)の日本の屋外ではうまく育ちません。零下になる冬を屋外で越すことはもちろんできません。原産地のメキシコは、日が短くても気温がそれなりに高い状態なのだと思います。
ということで、ご自宅で2年目を迎えることのできたポインセチアを色づけるには、外に出さずに、家の中で遮光して短日の環境を作らなければならないことになります。とても手間がかかりますが、上から段ボールを被せたり、黒いビニール袋をかけたりして真っ暗な状態をつくり、また外に出す作業を毎日続けていただければ、理論上は赤く色づかせることができます。
近年人気のプリンセチア。ポインセチアとの違いは?
サントリーフラワーズ株式会社が育種し2008年頃に発表され、知名度を上げてきたプリンセチアですが、ポインセチアと別物ではなく、ポインセチアの一品種です。皆さまに知られるポインセチアよりも苞や葉が小さく可愛らしいという特徴を持ったポインセチアです。
ポインセチアとプリンセチアにはお手入れ方法に違いがあるので注意
寒いと枯れてしまうので、冬に屋外に置くのはNGです。10度以上の日当たりの良い室内に置く、これはポインセチアもプリンセチアも共通することです。ただし、水やりの頻度に大きな差があることに注意してください。
そもそも、ポインセチア自体がメキシコ原産で乾燥に強い植物なので、水やりの頻度は多くても3日に1度の頻度で行うのが良いとされています。しかし、プリンセチアはより乾燥に強く、1週間に1度ぐらいの水やりをおすすめします。土が乾かないうちに頻繁に水やりをしてしまうと、根腐れのリスクがありますので気をつけてください。
と言われても、日当たりや湿度など環境は異なるので、根腐れもさせず、水不足にもさせず、という適切な頻度で水やりをするのは難しいですよね。その際は鉢の重さや葉の元気さで見極めてみてください。鉢を持ってみてずしりとした重さがあれば、まだまだ水やりしなくて大丈夫です。葉が垂れてきたり、鉢を持ってみて中に水が含まれていない感じで軽ければ、水やりのタイミング。水をあげて3〜4時間もすれば葉が元気になってきます。
ポインセチアもプリンセチアも、あまり水をあげないぐらいがちょうどいい、手のかからない植物です。同じ冬の花鉢のシクラメンなどに比べれば、だいぶ楽ですよね。
青山花茂でお取扱いのポインセチアやプリンセチア
青山花茂では毎年、ウィンターシーズンのギフトとしてポインセチアやプリンセチアをおすすめしています。今年もオーソドックスな赤はもちろん初めて取り扱う新しい品種のポインセチア、そして小ぶりな花苞と愛らしい色合いのプリンセチアをご用意しました。
数あるラインナップの中から一部ご紹介します。
ポインセチア
テーブルやデスクなどに置きやすい鉢皿に寄せ植えした3種のポインセチア
プリンセチア
淡いピンクから濃いピンクのグラデーションが美しいプリンセチア
冬の贈り物に季節感豊かなフラワーギフトをどうぞ
冬の季節がシーズンのポインセチア、プリンセチアをご紹介しました。寒い季節に、オフィスやお住まいなどで暖かく眺めていただける鉢花は、ご自宅はもとよりお世話になった方への贈り物にもおすすめです。
11月下旬~12月上旬頃までの、ポインセチアがもっとも美しく色づく期間を選定してお届けします。冬の季節ならではの特別なフラワーギフトをどうぞお贈りください。皆さまのご予約をお待ちしています。
この記事を書いた人
株式会社青山花茂本店 代表取締役社長
北野雅史
1983年生まれ。港区立青南小学校、慶應義塾中等部、慶應義塾高等学校、慶應義塾大学経済学部経済学科卒業。幼少期より「花屋の息子」として花への愛情と知識を育む。2006年〜2014年まで戦略コンサルティングファーム A.T. カーニーに在籍。2014年、青山花茂本店に入社し、2019年より現職 (青山花茂本店 五代目)。
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