お見舞い、退院祝い、快気祝い 花を贈るときのタブーとマナー

淡いピンクのバラとカーネーションのアレンジメントの画像

仕事でもプライベートでも、身近な人が入院すると症状も気になり心配です。お見舞いの気持ちを伝えたいと、青山花茂へもお客さまから「お見舞いに花を贈りたいのですが」と、ご相談いただくことも多くございます。
お見舞いや退院祝いで花を贈るときのマナーやタブー、快気祝いはどうすべきかなどを紹介します。

花の持つ不思議な力

お見舞いをするときに「花を贈ろう」と思うのは、なぜでしょう。「花を見ていると癒される」との声は、病気に関係なく耳にする言葉ですが、実際になにか関係があるのでしょうか。

アメリカ園芸学会のサイト(※)には、実際に入院患者を対象に行ったアンケート結果が公開されています。それによると、病室に植物があるほうが、患者の部屋に対する感情が肯定的で満足度も高かったというのです。
病室内に飾った植物や窓から樹木が見えることで、心配や不安が軽減されるのではないかと考えられており、お見舞いに花を贈るのは、形式的な意味だけではないようです。
(※)参照:American Society for Horticultural Science「Effects of Flowering and Foliage Plants in Hospital Rooms on Patients Recovering from Abdominal Surgery

元気になってほしいあの方におすすめの花の選び方

お見舞いに花を贈って元気づけたいとき、どのように花を選ぶと良いのでしょう。
お見舞いをするときに、知っておきたい一般的なマナーと選ぶ際の注意点をまとめます。

おすすめはオレンジやイエロー、ピンクの花

ヒマワリと白いカラーのアレンジメントの画像
ヒマワリと白いカラーやデンファレのアレンジメント

お見舞いに贈る花の色選びでは、明るいイメージにするように配慮します。元気が出る色、明るい気持ちになれる色、優しい雰囲気の色を選ぶと喜ばれます。

とはいえ、鮮やかな原色の花は、体調がすぐれない人には刺激が強く、疲れてしまうこともあります。ピンクやオレンジ、パステル調のイエローなどを組み合わせながら、柔らかさと明るさのあるイメージにするのが良いでしょう。

花粉が少なく、香りの強くない花を選ぶ

花の種類も、お見舞い用に選ぶときには注意が必要です。
長時間そばに置くだけでなく、同室の方がいる場合も考慮して、香りの強い花は避けたいものです。青山花茂でも、香りへの注意はもちろん、花びらがぱらぱらと落ちやすいものや、花粉が散りやすいものを避けてお届けしています。

お見舞いに贈る花 相場はどのくらい?

お見舞いの花選びでは、相場も気になります。一般的に、お見舞いの相場は、5,000円~10,000円ほど。親戚間のお見舞いなら、家族で相談しても良いでしょう。
友人や会社の同僚へ贈る場合も3,000円~5,000円ほどで、相手に気を遣わせない金額にするのが目安になるようです。お見舞いに贈る花の予算も、同等で考えましょう。

友人や職場の同僚らで合わせて花を贈る場合、高額になれば花のボリュームも大きくなることがあります。大きすぎる花は、病室に飾るには不向きですので、その場合はグレードの高い花(バラなど単価の高い花)を贈ったり、花と別にお見舞い金や品物を組み合わせるといいでしょう。

お見舞い花のタブー 鉢植え、白のアレンジメント

色や香り以外にも、お見舞いの花にはタブーとされるものがあり、生花店で注文する場合は「お見舞い用に」と相談すれば教えてくれます。基本的には、次のような注意点があります。
まず、お見舞いに鉢植えを贈ることは避けましょう。根がついている鉢物は「根(寝)付く」といわれ、お見舞いには不向きです。
花首が落ちやすい椿や香りの強い種類のユリ、供花に使用することの多い菊の花も、避けたい花です。
また、全体の印象が白一色になってしまうと、お供え、お悔みの花のように見えてしまい縁起が悪いのはもちろん、寒色系の紫・青もそれだけでは寂しい印象があります。血液を連想させる赤色も避けたい色です。
どうすればいいか迷うようであれば、生花店で用途がお見舞い用であることを伝え、相談しながら選ぶと安心です。

入院している方にお花を贈る場合のマナー

お見舞いアレンジメントの画像

お見舞いの花を入院している方へ贈る場合、花選びの前に確認すべきことがあります。

病院に花を持ち込めるか確認

面会が可能な場合でも、ご本人はもちろん、同じ部屋の患者さまの感染やアレルギー予防のため、生花の持ち込みを禁止している病院もあります。
生花の持ち込み不可の場合、プリザーブドフラワーを贈ると喜んでいただけます。水やりの手間もかからず、寝室へも飾りやすいため、ご本人やご家族のお手を煩わせる心配もありません。
ただし病院によってはそれすら禁止している場合もありますので、必ず事前に確認しましょう。青山花茂では送り先が病院の場合、すべて確認してからお送りします。

入院直後や手術直後を避けたタイミングに

お見舞いに花を贈るなら、お届けするタイミングにも配慮が必要です。花を見ると癒されるといっても、やはり入院してすぐや手術直後は避けましょう。病状も回復に向かい気持ちも安定した頃に贈るのが良いでしょう。

飾る手間や、大きなゴミを出さない配慮を

花を贈るとき、お見舞い用の場合は、いつものギフトとは異なる配慮が必要です。
贈るお相手へ手間をかけないようにすることが基本で、例えば、大きな箱や緩衝材・ラッピングなどもできるだけ控えます。したがって、青山花茂でも、自社配達区域外の病院へお花を贈るときは、宅配便は控え、花キューピットを通じて現地の生花店からお届けすることをお勧めしています。

持参する場合にも、お渡し後ははずしたラッピング材を持ち帰る気遣いが喜ばれます。
また、花瓶の用意や飾る手間をおかけしないよう、花束ではなくアレンジメントがおすすめです。

お見舞いに行けない時 花を送るときのマナー

アレンジメントをラッピングしている画像

お見舞いに伺えず、気持ちだけでもと病院に花の配達を依頼するとき、先にあげた3つのポイント
1. 生花の持ち込みが可能かどうかを病院へ確認する
2. お相手の病状を確認し、お届け日を指定する
3. 配送時に段ボールや緩衝材を使用するのか、使用した場合は店が持ち帰ってくれるか確認する

にくわえて、もう一つポイントがあります。

4. 宛先は病院宛ではなく、病室まで記載する

花の配達を依頼する場合、確実にお届けできるよう、病棟や入院している病室のお部屋番号も明記しましょう。病院によっては、セキュリティの観点で、入院患者名だけでは花が届けられない場合もあります。

お見舞いの気持ちを伝えるつもりが、かえってご迷惑にならないよう配慮することが大切です。

入院した社員や、そのご家族に会社名義で贈る時のマナー

青山花茂のメッセージカードの画像

病気やケガで入院した方が、御取引先、あるいは職場の同僚などのビジネスシーンの場合、お見舞いの花をどのように贈るのが良いのでしょうか。

会社名義で贈るのであれば、代表者名義で贈る

社員の入院のお見舞いを会社からする場合、名義について迷う方もいらっしゃいます。

会社名義での贈りものは、社名のみ、あるいは代表者名を記載した木札を付けるか、メッセージカードを添えます。
あまり大きなものや高価すぎるものは、かえって気を遣わせてしまいますので、品質のよい花で小ぶりなものを選んで贈りましょう。

有志一同で贈るのなら、メッセージを添えて

社内の有志でお見舞いの花を贈る場合は、人数が多いようなら「有志一同」として、メッセージカードや木札を付ける場合は、「御見舞い 有志一同」と記載したものを添えます。
有志の寄せ書きや手紙を添えたい場合は、青山花茂ではスタッフにお伝えいただければ同送いたします。
有志一同の贈り物も大ぶりの花にならないよう、質の良いものでセレクトすると喜んでいただけるでしょう。

退院祝いにお花を贈る場合のマナー

プリザーブドフラワーを持っている画像

入院していた方が退院したとき、お身内や親しい友人・知人から退院を祝う贈り物を、退院祝いといいます。また、先に述べたように入院中に見舞うことができなかった場合に、退院時に退院祝いとして贈ることもあります。
ここでは、退院祝いに花をご自宅へお届けする際の注意事項をお伝えします。

退院祝いはご自宅に送る

退院祝いは、入院していた方へ回復を祝って贈るもの。基本的にご自宅へお届けします。
退院してすぐの時期は、手続きや荷物の片づけがあるかもしれません。また、ご自身も落ち着きたい気持ちがあるでしょうから、退院してから数日〜1週間ほどのころにお届けすると良いでしょう。
退院祝いには、今後の回復をお祈りする意味もありますので、遅くなりすぎず、退院後1ヶ月以内にお届けするように手配します。

アレンジメントやプリザーブドなど手間のかからないものを

ご自宅にお届けするとは言っても、退院祝いで花を贈る場合はやはり、お相手にご負担のないものを選びます。花束よりも、アレンジメントやプリザーブドフラワーはお手間がかからないので、退院祝いのお花にはおすすめです。
明るい気持ちになれるピンクやオレンジや薄いイエローを用いたデザインを選んでみてはいかがでしょうか。

お花をいただいた快気祝いに何を贈る?

快気祝いアレンジメントの画像

お見舞いや退院祝いをいただいた感謝の気持ちはどのように、いつ頃、どのようなものをお返しすればいいでしょうか?

快気祝い、快気内祝いとは?

快気祝いとは、入院していたご本人からお見舞いに来てくれた人やお世話になった人へ、回復の報告を兼ねてお礼やお返しをすることをいいます。
「快気祝い」のほか「快気内祝い」という言葉もあり、どちらも退院後に「報告と感謝の気持ちを伝える」という意味では、同じです。
ただ、快気祝いでは「元気になった報告」をする、「全快祝い」と同じような意味なのに対して、快気内祝いは「退院はしましたが、まだ自宅療養や通院が必要」な場合にするお返しを指します。

退院から1ヶ月以内に送る。会社なら出社したときに持参

快気祝いは退院後10日から1ヶ月以内にお渡しすると良いと言われています。お返しは早いうちにと言いますが、快気祝いは別です。体に負担をかけないよう、生活が落ち着いてから用意をしましょう。
お勤め先の方への快気祝いも無理はせず、出社してからお渡しすればよいでしょう。再び体調を崩したりしないよう、ご自身の体調と相談しながら準備していきます。

お見舞い返しの相場は、いただいたものの半返し

お返しの快気祝いは、どれぐらいのものをお渡しするといいのでしょうか。一般的に、快気祝いでの相場は、いただいたお品の1/2から1/3程度です。お渡しして負担にならないようなものを選びます。
快気祝いの相場がわかっても、お見舞いにお花をいただいた場合は、そのお値段がわかりづらいところが悩ましいですね。
迷ったら、金額ではなく「お気持ち」で商品を選ばれると良いかと思います。お見舞いを贈る方は、金額に見合ったお返しを期待しているのではなく「早く回復してほしい」と願っていらっしゃいますので、相場にこだわる必要はないでしょう。
お相手の負担にならないお品と、お礼の気持ちをメッセージに添えてみてはいかがでしょうか。

お返しに何を贈る?短いメッセージを添えて

快気祝いは、入院中のお見舞いやお世話になったことへの感謝を伝えるもの。気持ちをこめて相手のご負担にならないものを選びたいものです。
快気祝いは、病気や怪我がなくなったことを報告するものですので「消えてなくなるもの=消えもの」を贈るのがマナーです。

  1. お菓子:有志でお見舞いをいただいた際など、分けてもらいやすく便利です。
  2. 飲み物:お菓子同様、分けてご利用いただきやすく便利。甘いものが苦手な方に。
  3. お花:花もまた消え物の一つです。アレンジメントをお送りし、オフィスなどにひととき飾っていただくのもおすすめです。
  4. 洗剤類:個人のご自宅に贈る場合は、使うとなくなる洗剤なども定番です。
  5. タオル:消えてなくなるものではないですが、「今治タオル」は「今」「治りました」という意味もあり、選ばれる人も多いようです。

なお、ギフト券や商品券などを、お返しとして上司や目上の方に贈るのは、失礼にあたると言われる方もいます。金額が明確であり、かつ「お祝いのお金を贈る代わりに贈るもの」と考えられているためです。品物選びに迷う場合はカタログギフトなどを選ぶと良いかもしれません。

快気祝いをお届けする際に、回復の報告とお礼の気持ちを短いメッセージやお手紙を添えてみてはいかがでしょう。
お見舞いをいただいたこと、心配をかけたことへの感謝の気持ちと、退院や体調の報告を伝えます。

つらい時だからこそ支え合う 心のおつき合いに花を

病気や怪我で入院すると、どなたでも不安や心細さを抱えます。そんな時こそ、お互いを気遣う気持ちを大切にしたいもの。「花」の贈り物が相手を思いやる心と心の架け橋となりますように、青山花茂では皆さまのご相談に寄り添いたいと考えています。お気軽にご相談くださいませ。

 

この記事の監修者

株式会社青山花茂本店代表取締役社長北野雅史

株式会社青山花茂本店 代表取締役社長

北野雅史

1983年生まれ。港区立青南小学校、慶應義塾中等部、慶應義塾高等学校、慶應義塾大学経済学部経済学科卒業。幼少期より「花屋の息子」として花への愛情と知識を育む。2006年〜2014年まで戦略コンサルティングファーム A.T. カーニーに在籍。2014年、青山花茂本店に入社し、2019年より現職 (青山花茂本店 五代目)。
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