衆議院議員選挙や参議院議員選挙などの国政選挙、都道府県知事・市区町長の選挙、そして都道府県や市区町村の議会議員選挙など。
こうした選挙が行われると、当選された方へお届けするお祝い花のご注文をたくさんいただきます。また、内閣の発足に際しては、組閣の当日や翌日に入閣祝いの花を永田町の議員会館にお届けしています。
今回の記事では、当選祝いや入閣祝いの花贈りの歴史や、ご注文の際に留意いただきたい点などをご紹介します。
目次
当選祝いや入閣祝いの花の変遷
歴史を振り返ると、当選お祝いや入閣祝いに花を贈ることは、遅くとも大正時代にはすでに行われていたことがわかっています。
ただ、当時の青山花茂本店のカタログを見ると、現在主流となっている胡蝶蘭ではなく、「花環(はなわ)」がお届けされていたことが推察されます。
昔は議員同士の贈答が多かった
また、贈り主は「民間の方が議員に贈る」というよりは、議員同士が花を贈りあうことが多かったと伝わっています。
実際に1980年代頃までは、ご注文の全体のうち、政治家の先生から当選された政治家に花を贈る量がとても多かったとの証言も社内に残っています。
議員や知事の贈答行為に関する世間の目が厳しくなってきた1990年代以降、民間の方から当選された方に贈ることが大半を占めるようになってきたのではないでしょうか。
胡蝶蘭が一般的になったのは90年代から
今でこそ大輪の胡蝶蘭をお送りするのが一般的ですが、胡蝶蘭の今のような3本立ちや5本立ちの仕立てが広く流通し始めたのは90年代の前半から。
それまでは、3万円ならカトレア、2万円ならシンビジュームやデンドロビュームなどの鉢を贈ることが多かったようです。「高級な贈答用の蘭といえば蘭の女王カトレア」という時代があったのですね。
品種改良により現在の形の胡蝶蘭が大量生産できるようになった結果、カトレアや他の蘭よりも飛躍的に日持ちがし、同じ値段でもボリュームもある胡蝶蘭が選ばれるようになっていったのです。
当選祝いや入閣祝いの花贈りの歴史については、NHKさんの取材記事に詳しくまとめていただいています。どうぞご覧ください。
当選祝いや入閣祝いに選ばれる花のスタイル・ご予算
現在では民間の方から議員の方々に贈られるケースが大半になってきた当選祝いや入閣祝い。ここでは、当選祝いや入閣祝いに選ばれる花のスタイルや、ご予算の相場、札の表記などをご紹介していきます。
当選祝いや入閣祝いの花といえば胡蝶蘭
青山花茂本店にいただく当選祝いや入閣祝いのご注文は、8割〜9割が胡蝶蘭です。中でも、大輪胡蝶蘭の白・3本立ちと、白・5本立ちが主流となっています。
お届け先との関係性や、おめでたさ(初当選・初入閣など)によっては、7本立ちや10本立ちの大きな胡蝶蘭のお届けをご希望される場合もありますし、お好みに応じてピンクや白に赤リップの胡蝶蘭を選ばれる方もいらっしゃいます。
アレンジメントやスタンド花を贈られる方も
胡蝶蘭が大量に届くからと、アレンジメントやスタンド花、またはプリザーブドフラワーを選ばれる方もいらっしゃいます。
アレンジメントやスタンド花は長くて1週間程度しか日持ちがしませんが、胡蝶蘭が多く届く中では目立たせることができる品物ですし、色味の希望を伝えて、当選者にゆかりのある色で飾ることもできます。
当選祝いや入閣祝いの花のご予算相場
当選祝いや入閣祝いは、人生で何度もないお祝いの機会。それもあってか、多くが3万円(税別)以上の高額なご予算でご注文をいただきます。特に初当選や初入閣、返り咲きなどの場合、さらに高額なご予算で花を贈られる方も珍しくありません。
当選祝いや入閣祝いの立て札表記
当選祝いや入閣祝いの場合、立て札は「御祝(赤字)+贈り主名」が主流です。赤字表記を「祝当選」・「当選御祝」・「祝入閣」・「入閣御祝」などの表記にすることも可能ですので、ご注文の際はご希望をお知らせください。
贈り主名に加えて、お届け先のお名前を表記することも可能ですが、文字が小さくなってしまうことと、当選祝いや入閣祝いの場合はどなた宛のお祝い花かどうかが一目瞭然なので、お届け先のお名前を入れる必要性は低いと考えています。
当選祝いや入閣祝いの花を贈る機会とお届け先
当選祝いの場合、その方が当選直後にどちらにいらっしゃるのかによって(主に新任と留任の違い)お届け先が異なり、選挙事務所・ご自宅・都道府県庁・議員会館などさまざまです。
入閣祝いの場合は、現職の議員が入閣するため、お届け先はほとんどが永田町の議員会館になります。
当選祝いや入閣祝いのお届け先については、以下の一覧表にまとめました。こちらを参考に、それぞれのケースによってお届け先をご検討いただけると良いと思います。
当選祝い・入閣祝いの花のお届け先
新任 | 留任 | ||
当選祝い |
衆院/参院 議員 |
選挙事務所 |
議員会館または選挙事務所 (議員会館ご不在の場合がある) |
都道府県知事 |
選挙事務所 |
都道府県庁 (選挙事務所の場合も) |
|
市区町村長 |
選挙事務所 |
役所・役場 (選挙事務所の場合も) |
|
都道府県/市区町村 |
選挙事務所 |
選挙事務所 (ご自宅の場合も) |
|
入閣祝い |
大臣 |
議員会館 |
議員会館または大臣室 |
副大臣・政務官 |
議員会館 | 議員会館または副大臣/政務官室 |
当選祝いや入閣祝いのご注文の際に気をつけたいポイント
当選祝いや入閣祝いは、確定の報があってからすぐのお届けが理想ですので、弊社はお祝いの品物を用意してお待ちしておりますが、品物やお届け先によってはすぐのお届けが難しい場合もあります。
ご注文の際に留意いただきたい点について以下でまとめました。
1.土日祝日だと受け取れない場合も
国政選挙や地方選挙は、日曜日に行われるため、投開票が済んだ翌日の月曜であれば、お届けできるケースが大半ですが、月曜が祝日に当たる場合などはお届けができない場所もあります。都道府県庁や市役所などでは、土日祝日の受け取りが難しいケースがあります。
特に、永田町の議員会館は土日祝日はお届けができないので、平日にお届けするか、お急ぎの場合はご自宅にお届先を指定されるなどの対応をお勧めします。
2.即日のお届けは難しい場合がある
私ども生花店も、国政選挙や組閣に向けて、胡蝶蘭や切り花をいつもより多く仕入れてお待ちしていますが、「ご注文当日のお届け」となるとご注文のタイミングによっては難しい場合があります。
翌日のお届けであれば多くの場合は可能ですが、例えば10本立ちの大輪胡蝶蘭のお届けには時間がかかる可能性があります。全国的に、3本立ちや5本立ちの大輪胡蝶蘭はストックしている生花店が多いですが、頻繁にご注文がない7本立ちや10本立ちの大輪胡蝶蘭は、ご注文いただいたのちに市場や生産者に発注することが一般的です。
また、繁忙期になると、開花している胡蝶蘭が市場や生産者にも品薄になるケースがありますのでご注意ください。
3.「当選したらお届け」のご予約は難しい
まれに、「この方が当選したらお届けしてください」とご注文をいただく場合がありますが、当選しなかった場合に確保していた花が余ってしまうので、当店では原則としてお受けしていません。当選や入閣が判明した段階でご注文をいただく形となります。
当選祝いや入閣祝いに、青山花茂のフラワーギフトをお選びください
今回は、長年に渡り当選祝いや入閣祝いの花をお届けしてきた生花店として、蓄積している知見をまとめました。かつては主流だったカトレアが胡蝶蘭に替わってから30年以上。今後もお客さまのニーズに合わせた品物をお届けしていきたいと思います。
贈る花の内容、贈るタイミング、木札の表記など、ご不明点があればお電話やお問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。皆さまのご注文を心よりお待ちしています。
電話:03-3400-0871
FAX:03-3400-8711
FAX用紙ダウンロード(PDFファイル)
この記事を書いた人
株式会社青山花茂本店 代表取締役社長
北野雅史
1983年生まれ。港区立青南小学校、慶應義塾中等部、慶應義塾高等学校、慶應義塾大学経済学部経済学科卒業。幼少期より「花屋の息子」として花への愛情と知識を育む。2006年〜2014年まで戦略コンサルティングファーム A.T. カーニーに在籍。2014年、青山花茂本店に入社し、2019年より現職 (青山花茂本店 五代目)。
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