カーネーションの鉢植えの育て方にはコツがある?生産者さんに聞いた長く楽しむためのお手入れ方法

ピンクのカーネーションの鉢植え

5月、木々のやわらかな若葉が太陽に照らされて、新緑のまぶしい季節となりました。

戸外ではツツジやヤマボウシなど、いろいろな花木(かぼく)が花をつけているのを見かけますが、5月の花といえばカーネーションを思い浮かべる方も多いことかと思います。カーネーションは、第二日曜日の母の日に贈る代表的な花として、愛されている花ですね。母の日にカーネーションの鉢植えをもらった、という方もいらっしゃるでしょう。

カーネーションの鉢植えについて、青山花茂ではよくお客さまから「どんなお手入れをしたらいいの?」というご相談をいただきます。そこで今回は、産地へ訪問した際に伺った、お手入れ方法やつぼみを咲かせる方法などを詳しくご説明します。

青山花茂ロゴ

この記事の執筆者

青山花茂本店スタッフ

東京・表参道にある宮内庁御用達の生花店です。花一輪一輪を大切にお作りしたアレンジメントや花束、名人達が丹精こめて育てた蘭鉢や花鉢など、最高品質のフラワーギフトを全国へお届けしています。1904年の創業時より培ってきた、花の知識やノウハウを綴っていきます。

鉢植えのカーネーションの産地見学に行ってきました

カーネーション農園

4月下旬、晴天の日。埼玉県と群馬県の県境に位置する、カーネーション農園へお伺いしました。

青山花茂が毎年母の日のカーネーションの鉢植えを仕入れている、以前より長いお付き合いのある確かな実績を持つ生産者さんです。

今年の母の日用に入荷予定の品物の生育状況の確認のため、ハウスの中を見せていただきました。

赤いカーネーション
カーネーションのハウスにて。スタッフの方が水やりをしている様子

この日は晴天かつ強風のため、ハウスの扉を締め切っていました。ハウスの中に風が入り込んでしまうと、鉢の土が乾燥しやすくなるため、締め切っているのだそうです。

湿度はそれほど高くない4月下旬ですが、ハウスの中に長時間いて作業しているとじんわりと汗をかいてしまう。そんな環境下で、何百とある鉢に人の手でひとつひとつ水をあげていました。丁寧に育成されている方針が伺えます。

育成中のカーネーション
5月の母の日の出荷最盛期に向けて育成中のカーネーション

生産者さんによると、2023年の母の日は5月14日ともっとも遅く、暖かい気候が続くと次々に咲いてきてしまうため、何とか調整しながら育成しているとのことでした。毎年天候や気候などの自然と向き合い、その都度さまざまな試行錯誤を繰り返して、育成されているカーネーション。私たち生花店の元へと届くカーネーションの鉢植えの美しく咲くさまは、生産者さんの努力があってこそ。今回の産地見学はそれらが垣間見える、感慨深い体験でした。

母の日にもらったカーネーションの鉢植えでよくあるお悩み

お客さまから青山花茂にいたただくカーネーションの鉢植えのお悩みで、代表的なものは3つあります。

  • 置き場所や水やりはどうしたらいいの?
  • つぼみが咲かない。肥料が足りないの?
  • 花の輪が小さい。どうすれば大きく咲くの?

次の項では、上記のお悩みに対する回答を【基本編】、【上級編】と分けてご説明していきます。

カーネーションの鉢植えのお手入れ方法【基本編】

置き場所

屋外で日光に当たっているカーネーションの鉢植え

風通しと日当たりのよい庭先やベランダなどの屋外に置いてください。直射日光に当てても当てなくても、どちらでも大丈夫です。

カーネーションは日光が大好きで、花を咲かせるためには日光が必要です。窓際などの室内では光が足りませんので、ご注意ください。

ベランダに置く場合、鉢の設置面がコンクリートですと、暑すぎて水切れを起こします。直置きせず、鉢皿を敷くか台の上に置いてください。

雨の日は軒下など、雨の当たらない場所へ移動させます。長く雨に当たると病害虫の原因となるため、注意します。1日であれば室内に置いても問題ありません。

水やり

カーネーションの株元から水をあげている様子

鉢土の表面が乾いたら、花を避けて株元から鉢底から流れるくらいたっぷりと水を与えます。鉢皿に残った水は必ず捨ててください。

水のやりすぎは根腐れの原因となる場合があるので、必ず土の状態を見て水を与えるようにします。

もっとカーネーションを楽しむには?生産者さん直伝のコツ【上級編】

ここまででカーネーションの基本的なお手入れ方法がお分かりいただけたでしょうか。
次はカーネーションの鉢植えをもっと楽しむための、お手入れ方法をご説明します。

お悩み:つぼみが咲かない。肥料が足りないの?

<コツその1>次々に咲かせるには、終わりかけの花を摘む!

カーネーションの花を摘む

つぼみが咲かないのは肥料が足りないのではなく、養分が分散されているからと言えます。終わりかけの花を摘むことで、養分が別のつぼみにいくようになり成長が促されます。花を1つ取ると、1つのつぼみが咲くイメージです。

全体を見て、色が抜けてきている、おしべが見えている、この2点があてはまるものは摘み取るタイミングの花。手で花の首元を持ち、傾ければポキッと簡単に折ることができます。

色が抜けてきているカーネーション 中央におしべが見えているカーネーション

お悩み:花の輪が小さい。どうすれば大きく咲くの?

<コツその2>花の輪を大きく咲かせるには、小さな芽を摘む!

カーネーションの芽を摘む

一本の茎に複数ついているつぼみのうち、一番小さな芽を2~3個摘み取ると、より大きな花を咲かせることに役立ちます。こちらは「芽かき」と呼ばれ、生産者さんの元では日々この作業を行なっています。
購入したばかりのタイミングでは大きな花が咲いていたのに、次々と咲いていくうちに「なんだか最初より花が小さい」と感じたら、この芽かきを行うとよいでしょう。どの芽を摘んだらいいかは、次の画像を参考にしてください。

芽かきをした後の状態 芽かきをする前の状態

番外編:長く花を楽しむには

切り戻したカーネーションの鉢植え

花が終わったら、切り戻します。茎の株元から先端までの長さで、1/3程を目安にカットします。その際、下葉まで切り取ってしまわないよう注意してください。生育を促すために葉を残しておく必要があります。
合わせて、萎れた花がらや枯れた葉、黄色くなった古い葉は摘み取ってください。

切り戻し後は追肥(肥料を加えること)をし、日々【基本編】のお手入れ方法を行います。肥料については、液肥でもそれなりの効果は望めますが、より確実な効果を求めるなら固形タイプがおすすめです。しばらくすると1ヶ月ほどでまたつぼみが出てきます。

その後はより大きい花をたくさん咲かせることができるよう、【上級編】でご説明した<コツその1>と<コツその2>を行います。そうすると、本格的な夏が始まる前くらいまで花を楽しんでいただけるでしょう。

旬のカーネーションの美しい花をぜひお楽しみください

生花店で販売されているカーネーションの鉢植え
5月、青山花茂本店の店頭にて。並んでいるカーネーションの鉢植え

今回は、カーネーションの鉢植えのお手入れ方法についてご紹介しました。

青山花茂公式インスタグラムでも、弊社社長・北野がカーネーションの花を長く咲かせるコツをご紹介しています。こちらの動画も併せてご覧ください。

 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

青山花茂本店【AOYAMA_HANAMO】(@aoyama_hanamo)がシェアした投稿

母の日の贈り物の定番となったカーネーションの鉢植え。日々のお手入れは中々手間がかかりますが、だからこそ花が咲いたときは喜びもひとしお。
皆さまもぜひ、お手入れとともに美しい花を咲かせることを楽しんでみてください。

 

この記事の監修者

株式会社青山花茂本店代表取締役社長北野雅史

株式会社青山花茂本店 代表取締役社長

北野雅史

1983年生まれ。港区立青南小学校、慶應義塾中等部、慶應義塾高等学校、慶應義塾大学経済学部経済学科卒業。幼少期より「花屋の息子」として花への愛情と知識を育む。2006年〜2014年まで戦略コンサルティングファーム A.T. カーニーに在籍。2014年、青山花茂本店に入社し、2019年より現職 (青山花茂本店 五代目)。
ご挨拶ページへ>

 

この記事を書いた人

青山花茂ロゴ

青山花茂本店

東京・表参道にある宮内庁御用達の生花店です。花一輪一輪を大切にお作りしたアレンジメントや花束、名人達が丹精こめて育てた蘭鉢や花鉢など、最高品質のフラワーギフトを全国へお届けしています。1904年の創業時より培ってきた、花の知識やノウハウを綴っていきます。
オンラインショップへ>