初夏の花、芍薬(シャクヤク)の季節がやってきました。5月の誕生花でもある芍薬は、ピンク・赤・白などの花色、翁咲き・バラ咲き・手毬咲きなどの咲き方があり、品種によりさまざまです。
大きな一輪の花、そして幾重にも重なる花びらの優雅な花姿はもちろん、爽やかさを感じさせる香りもその魅力の一つ。特に近年、女性を中心に高い人気を集めており、英語名のピオニー(peony)という名前はさまざまなブランドの香水にも採用されています。
まれに、切り花の芍薬をご購入された方から「つぼみのままで花が咲かない」というお問い合わせがありますが、綺麗な花を咲かせるためにはちょっとした工夫が大切です。今回は芍薬の花を綺麗に咲かせるコツを記事にまとめました。
芍薬の花を綺麗に咲かせるコツ
青山花茂のフラワーデザイナーによると、芍薬のような大きな花を咲かせるには相当なエネルギーが必要とのこと。
鉢植えならまだ問題ないのですが、切り花にしてしまうとそれ以上成長しないため、花・茎自体が元気でないと咲かせるのが難しいそうです。
近年は、切り花にしても花を咲かせることができる強い芍薬を育てるのが上手な生産者さんが増えていますが、それでも咲かないことがあるので、芍薬を活ける際には花を咲かせるための下準備が必要です。
1.咲きやすい芍薬を選ぶ
生花店で芍薬を購入する際は以下の項目に当てはまる状態のものを選んでみてください。
ぎゅっとして固いつぼみではなく、少しふくらんできているもの

左は確実に花が開くゆるんだつぼみで、右はまだ固い状態のつぼみです。
目安としては花びらが数枚浮いているような状態のものを選ぶと良いでしょう。
葉に張りがありしっかりしている

右の葉は見た目にハリと艶があり、触った感じもしっかりしていますが、
左の芍薬は葉が倒れていて元気がないのが分かります。
2.水切りをする

ラッピングを外したら、茎の先を水につけた状態で茎をカットします。
茎は斜めに切り、水を吸い上げる面が広くなるようにします。
必ず、切れ味の良いハサミを使うこともポイントです。
3.余分な枝葉は剪定する

花瓶に活ける際に水につかってしまう部分の葉は取り除きましょう。
水の鮮度が長持ちし、清潔を保つことができます。
また、植物は吸いあげた水を主に葉から蒸散するため、水切れを起こしにくくする役割もあります。
4.つぼみに蜜がついている場合は拭き取るか洗い流す

芍薬のつぼみには蜜がついている場合があります。
これはつぼみが綺麗に開くのを妨げるため、水で丁寧に洗い流すか濡れた布巾でやさしく拭き取ります。
5.毎日水替えする

花が咲く時にはたくさんの新鮮な水が必要なため、できれば毎日の水替えが望ましいです。
さらに水があがりやすく(水を吸いやすく)するために、水に浸かっている茎の先も毎日少しずつカットします。
6.風通しの良い直射日光の当たらない場所に飾る
湿気で蒸れると花びらが変色することがあるためなるべく涼しく風通しの良い場所へ。
直射日光は水が下がってしまう(=花が枯れてしまう)原因となるため避けましょう。
この方法を試してみて、ぜひ美しく大きな芍薬の花を咲かせてみてくださいね。
私も以前、少しふくらんできているつぼみの芍薬を5本花瓶にいけたのですが、全て花が開き、繊細な花びらの美しさを楽しむことができました。

花を長持ちさせる水切りの詳しい手順は以下の記事でもご紹介しています。
参照:「切り花を長持ちさせるには?老舗生花店がお答えします」
芍薬を使ったアレンジメントや花束
青山花茂でご用意しているフラワーギフトの芍薬は、より長くお楽しみいただけますよう、開花しはじめのつぼみの状態でお届けします。

芍薬を使ったアレンジメントや花束の一部をご紹介します。ご紹介する商品はいずれも今年の新しいデザインです。
初夏のフラワーガーデンのような豪華なアレンジメント「アンジェリーク」
淡いピンク、濃いピンク、白の3種の芍薬。
淡いグリーンのハイドランジアをベースに、紫の濃淡の小花や実もの、ナチュラルなリーフをたっぷりとあしらって、たくさんの花々が自由に咲き誇る、にぎやかで豪華なアレンジメントに仕上げました。
お祝いにぴったりの明るいアレンジメント「グランヴィオレ」
濃いピンクと淡いピンクの芍薬を引き立てるように、薄紫のトルコキキョウ、淡いオレンジのカーネーションなどが彩りよく。にぎやかな花色合わせに、深みのある美しさを感じるデザインです。
芍薬の花色を存分に楽しむ「芍薬の花束」
濃いピンク、淡いピンク、白の3種類の芍薬だけでお作りした、ラウンドスタイルの花束。
幾重にも重なる花びらと、花色の繊細なハーモニーが絶妙な美しさを奏でます。
ナチュラルな印象の芍薬の花束「シャルトル」
赤、白、淡いピンクの3種類の芍薬をたっぷりと色合いよく。
ナチュラルなリーフを添えて、初夏の爽やかさを演出しながらエレガントな花束に仕上げました。
ロングスタイルの豪華な花束は華やかなご贈呈のシーンにもおすすめです。
芍薬のフラワーギフトは初夏のわずかな期間のみ
青山花茂では、芍薬のフラワーギフトは6月上旬頃までのお取扱いです。
この時期だけの花、芍薬。つぼみから大きな大輪の花がひらく様子をご自宅で楽しむのも醍醐味のひとつですね。
初夏のわずかな期間ですが、どうぞ時期を逃さずお楽しみください。
皆さまのご注文をお待ちしています。
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この記事の監修者
株式会社青山花茂本店 代表取締役社長
北野雅史
1983年生まれ。港区立青南小学校、慶應義塾中等部、慶應義塾高等学校、慶應義塾大学経済学部経済学科卒業。幼少期より「花屋の息子」として花への愛情と知識を育む。2006年〜2014年まで戦略コンサルティングファーム A.T. カーニーに在籍。2014年、青山花茂本店に入社し、2019年より現職 (青山花茂本店 五代目)。
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この記事を書いた人
青山花茂本店
東京・表参道にある宮内庁御用達の生花店です。花一輪一輪を大切にお作りしたアレンジメントや花束、名人達が丹精こめて育てた蘭鉢や花鉢など、最高品質のフラワーギフトを全国へお届けしています。1904年の創業時より培ってきた、花の知識やノウハウを綴っていきます。
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