秋の花色の不思議

自然の少ない大都市で暮らしている私たちも、夏の強い日差しが少しずつ傾き、夕暮れの訪れが早まるころ。ある日突然スズムシの声に気付き、乾いた風に秋の訪れを感じます。

生花店に入荷する花々の色の変化を感じるのもこのころ。
淡いピンク色の花が、春や夏のピンクとは違う少しダークなピンク色となってきたように気付きます。くすんだ色合いの、彩度の低い花々が増えてきました。

自然の花色が秋の色になってくるのです。

ファッションやコスメの色合いの変化も、デザインの歴史の中で、おそらくこの植物の色の変化をベースに演出されているのではないかと感じます。

柿の実のような深みのあるオレンジ。

ケイトウ
夏から秋にかけての花、鶏頭(ケイトウ)。

ブドウのような豊かなパープル。

リンドウ
リンドウもさまざまな色合いが産出されています。

紅葉のような陰りを装った赤。

一年を通して入荷可能なマムやガーベラも本来は秋の花。

毎年この時期にはその花色の変化の不思議に驚きながら、そのデリケートな違いは、おそらく科学的に明確な説明もあることだろうと思って眺めます。
夏の日光や暑さを過ごすことによって、花の色素に変化が生じるのでしょうか。寒さのあとに短時間で生育し開花する、春の花の鮮やかな色素とは異なるものがあります。

秋は独特の深みのある花色だけでなく、入荷量の増える枝ものや実ものも魅力。
青山花茂の活け込みチームの、季節を先取りする活け込みも始まっています。

まだ青い栗をレストランに活ける。
パーティ会場の秋の装い
料亭のパンパスグラス

先取りの好きなファッショナブルな嗜好によって11月にはクリスマスディスプレイが始まって、街は冬の装いとなり、1月になると早くも春の訪れを演出します。
残暑が9月まで続くとなると、秋はとっても短い季節ですよね。

ハロウィンもすぐそこまできています。

独特の花色と豊富な枝ものや実ものに溢れる秋は、私たちフラワーデザイナーにとっても、ワクワクする季節。

皆さまも、秋らしい花色の美しい花々をお近くに飾って、短い秋をお楽しみください。お友だちや大切な方への、おすすめのフラワーギフトもご用意しています。

A-326 秋のアレンジメント<爽秋(そうしゅう)>
B-205 秋の花束<カルメーラ>

皆さまのご来店やご注文を、心よりお待ちしています。